2015.02.24  火縄銃狙撃
 山本兼一氏の小説にハマっております。
 「下針(さげばり)」「ふたつ玉」「弾正の鷹」「安土の草」「倶尸羅(くしら)」の5話からなる短編小説。 各編の主人公がみな織田信長の命を狙うという「信長暗殺」をテーマとした作品集です。

 「下針(さげばり)」と「ふたつ玉」はどちらも火縄銃で信長を狙う狙撃手が主人公です。

 「下針」
 紀州雑賀党領袖鈴木孫市の甥で、五十人の鉄砲衆の物頭(将校)である鈴木源八郎の話。二十間先の松の枝に吊り下げた針を射中てるという腕前を持つ。そこから下針という通り名がつく。この下針、本願寺寺内町の遊び女・綺羅にぞっこん惚れてしまう。雑賀党が石山本願寺に加担し、顕如から信長を仕留める依頼を受ける。それに対し、彼は永楽銭一万貫の褒美を要求する。それは綺羅を自分一人の女にしたいがためだった。出撃する日、下針はずしりと持ち重りのする鹿革の袋を綺羅に託し、「信長の命が取れたら、その褒美は、ぜんぶおまえにやる」「もしもな、万にひとつ、わいが死んだらこの包みをあけてくれ」と言い、戦場に向かう。
 ラストシーンの女心のせつなさ、ゆらめきがいい。

 「ふたつ玉」
 ふたつ玉というのは、鉄砲に二つの玉を込めて撃つだけの膂力をもつという鉄砲の腕前から来ている。その腕前を持つのが甲賀杉谷の善住坊である。佐々木六角承禎からのいただきものである菖蒲という心根のやさしい女に惚れ抜いている。その善住坊が承禎から呼び出され、信長を狙撃して斃すように命じられる。善住坊は承禎に願う。「みごと信長を撃ち果たしましたら、鉄砲を捨てとうございまする」承禎曰く「よいよい、好きにせい」「おなごというもの、さほどにありがたいものかな」
 善住坊の狙撃は歴史の語る通り失敗に帰す。この短編の結末に、作者のロマンがこめられている。

    (このあらすじは「茲愉有人/遊心逍遙記」ブログより無断添付です)

 山本氏の1999年小説NON創刊150号記念短編時代小説賞佳作「弾正の鷹」他を集めた文庫本でしたが、史実を巧みに織り交ぜながらの展開にしばし時間を忘れ一気に読み込みました。


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