山本兼一著作の「狂い咲き正宗/刀剣商ちょうじ屋光三郎」を完読。

将軍家・御腰物奉行の父・黒沢勝義の長男に生まれ、幼い頃より刀好きで、元服してからも御腰物方見習いとして、あまたの名刀に接してきた光三郎。名刀正宗をめぐって、父と大喧嘩をして、飛び出して、侍を捨てて刀剣商〈ちょうじ屋〉に婿入りする。  からなる名刀に絡むナゾ解きの短編集です。

    「狂い咲き正宗」
 江戸時代の格式として、名刀・正宗は垂涎の的でした。 無銘に正宗を彫ったり、伝・正宗が横行します。
 将軍への本庄正宗の披露にあたり、事前の試し切りで折れてしまった。 そこで、相談密議が交された・・・

    「心中むらくも村正」
 直参旗本の侍が恋仲の遊女から贈られた刀が村正であった。 謀反の企てか?とあらぬ疑いを掛けられた二人の行末は・・・

    「酒しぶき清麿」
 酒びたりの清麿(本書の4年後に長編『おれは清麿』を執筆)に作刀を依頼するが無為に日が流れる。逃げられた恋女房に相談すると、「そばに居ると飲んでいる姿が好きでもっと勧めたくなるんです」

    「康継あおい慕情」
 家名存続の危機に立たされた末子養子と家康から一文字を貰った家継の刀との交換の悪事に巻き込まれた光三郎の奇策取り返し顛末記。

    「うわき国広」
 国広だけを収集する旗本と虎徹だけの同僚、実は互いが欲しがっている名刀を隠し持っていたのであった。交換すればいいだけのものが“武士の二言”と互いを非難し合い決闘事に発展するが・・・

    「浪速みやげ助広」
 江戸には馴染みがないが浪速の助広を持ってきたら高額で引き取るとの儲け話に騙された貧乏旗本のカラクリを暴く光三郎。

    「だいきち虎徹」(虎徹の生涯を描いた長編『いっしん虎徹』は前年執筆)
 ペテンと言うなかれ。 吉凶を占う剣相なる名刀とは別の次元の価値観により翻弄される憐れな侍たち。


 物語の設定が幕末の武士侍の喜劇が悲劇に変わる動乱の時季であった。
 山本氏の“日本刀愛”いえ刀剣への造詣敬眼の鋭さは時代小説家随一ではなかろうか? (自ら居合道をたしなむ津本陽氏もいるが)
 
 とにかく、おもしろかったです。 第2弾をすぐに読み始めます。


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